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文庫「海炭市叙景」

昨日観た海炭市叙景の余韻とともに目覚めた朝。映画のストーリーを思い出していたら、もしかしたらとてつもない名作を観たんじゃないかと思って、映画に収められていなかったほかのストーリーを知りたくなりました。

ならばと原作を買いに本屋に向かったら、外は花粉がひどく飛散していて、喉も鼻もやられてしまい気が滅入る。どうしよう、おうちでゆっくりしようかな。でも、避難するように入った韓国料理屋で、牛のホルモンと野菜を炒めたような激辛の料理を食べたら、粘膜にこびりついた花粉も驚いて退散したのか、症状がずいぶんマシに。

その隙に本屋まで直行し、目当ての文庫を買い、逃げるように帰宅。映画化されたからでしょう。昔の小説のはずなのに目立つように置かれていて、自分のようにこの機会に佐藤泰志を知る人も多いだろうと思いました。

映画に比べるとひとつひとつのストーリーがあっさりしている。それはそれでいいし、映画は小説の劣化版に落ちることなく、うまく作られていたんだと今さらながら思いました。


海炭市叙景

佐藤泰志の短編小説をもとにした映画。舞台は、北海道の函館市がモデルらしい。

敗退する地方都市で、もがきながら生きる人々の日常のひとコマをそのまま切り取ったような短編集。部分的にそれぞれの主人公がゆるく交差するシーンがある。やっぱり邦画ってこうでなくっちゃって思わせるような、淡々としていて、良い意味で抑揚のない映画。しみじみと観れます。

ケイズシネマという新宿のミニシアターで鑑賞したんだけど、とても清潔な映画館で、シートの座り心地も良い。ひとりで観に来ている人が多かったです。


なごり雪

元ちとせの歌う、なごり雪

松浦亜弥もさすがの歌唱力。みずいろの雨を歌ったときの衝撃ほどではなかったけれど。

そして平原綾香。


悪人

これまた目黒シネマで。

つい感情が高ぶって女を殺してしまった男と、その男に惚れこんでしまった女。その二人が話の中心ではあるのだけど、ほかの登場人物の描写の掘り下げ方と、役者の演技の半端なさとで、かなり味わい深い作品に。

本当の「悪人」って何だろう。ストーリーは暗く重たいが、その分、後からじわじわ考えさせられる映画に仕上がっておりました。

っていってもちょっと物足りなさも残る映画だったんだけど。


告白

目黒シネマで鑑賞。

娘を生徒に殺された女教師の、ひとつの「告白」から幕を開けるこの映画。彼女は少年法で守られた生徒達に、ある方法で罰を与える。それは単なる復讐なのか、彼女なりの生徒への愛情なのか。

冒頭からぐいぐい引き込むかと思いきや、それが最後まで続かない。主要な人物の行動の背景が、どれも動機としては弱いためだと思う。みんなそれぞれ狂った行動をとっているのに、あまり凄みを感じないのは、対比となる「正常」な人物がいないためか。

原作の小説はどうなんでしょうね。


冷たい熱帯魚

ひさしぶりに映画館で邦画を観た。

小さな熱帯魚屋を営む、気弱で地味な主人公が、とんでもなく、猟奇的な連続殺人事件に巻き込まれていくお話。これ、埼玉愛犬家連続殺人事件という実際に起こった事件を題材にした映画らしい。

黒沢あすか、神楽坂恵のちょっと田舎っぽさのあるエロさと、なにより、でんでんの思わず震えあがるほどの怖ろしさがあとひく映画。観ている最中、妙な汗をかく場面が何度かありました。

死体をバラす現場の妙に宗教じみた雰囲気や、ラストシーンで警察のとった行動の不可解さ、それまで冷酷だった村田の妻、愛子の一変したデレっぷりなど、よくよく考えれば腑に落ちなさそうなところはいくつかある。けれど、そんな矛盾は、観終わった直後の強烈な余韻で吹き飛ばしてくれる。

数少ない、もう一度みたい映画のひとつです。